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最高裁判所第三小法廷 昭和46年(マ)7号 命令

申請人

橋浦彦三

外四名

代理人

野村幸由

右申請人らから当庁昭和四四年(オ)第一一五八号事件につき上告人株式会社藤井製作所のため民訴法五八条、五六条に基づく特別代理人選任の申請があつたので、次のとおり命令する。

主文

本件申請を却下する。

理由

本件申請の趣旨、理由は別紙のとおりである。

よつて按ずるに、記録によれば、申請人橋浦彦三外二名は、東京高等裁判所昭和四二年(ネ)第二八二七号事件につき、原審裁判所に対し上告人株式会社藤井製作所(以下「上告会社」という。)のため民訴法五八条、五六条に基づく特別代理人選任の申請をしたが、同裁判所において、昭和四四年八月二九日付をもつて、特別代理人選任の必要をみないとして右申請を却下したものであること、一方、上告会社は、存立期間の満了により現に解散し、清算手続に入つているが、上告会社は、清算手続に必要な定数の清算人を欠くものとして、昭和四五年一月二〇日、横浜地方裁判所川崎支部に対して清算人の選任の申請をしたが、同裁判所より費用の予納命令が発せられるや、資力不足でこれに応じられないとして、同年九月一六日、右清算人の選任申請を取り下げるに至つたものであり、その後現在に至るまで法定の手続に従つて代表者たる清算人の選任がされていないことが認められ、かつ、右清算人の選任がされていないことについては、これをやむをえないとするに足りる事情も認められない。そして、申請人らが上告会社のために本件特別代理人の選任を申請した趣旨は、帰するところ、特別代理人によつて原審における上告会社の代表者の訴訟行為を追認させようとするにあることは、本件申請の趣旨、理由に徴して明らかであるところ、本件のように、控訴審において原告である上告会社の代表者の代理権が欠缺しているという理由でその訴が却下されている場合には、上告審において右代表者の原審における訴訟行為を追認させようとして上告会社のために特別代理人を選任することは許されないものと解するのを相当とする。

よつて、本件申請は理由なく、これを却下すべきものとし、主文のとおり命令する。(下村三郎)

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